アトロピン点眼について
アトロピン点眼をご希望の方へ
低濃度アトロピンは世界的に最も使用されている近視進行抑制薬です。当院では、国内に同様の効能を持つ入手可能な点眼剤がありませんので、小児期の近視進行の軽減を目的にシンガポール国立がん化センターの研究に基づき開発製造されたEye-Lens Pte Ltd社のマイオピン™を処方しています。副作用は通常軽微ですが、薬の特性として、以下のような副作用がでることがあります。副作用がでた場合は無理にご使用を継続しないことをお願いします。
- わずかですが、使用しない場合に比べて瞳孔が大きくなります。まぶしさを感じることがあります。就寝前のご使用をお勧めします。点眼は1回1滴です。
- わずかですが、調節力が低下します。調節力の大きい子供さんの場合自覚はありませんが、成人がご使用になると調節力の低下を自覚することがあります。
- 非常に稀ですが、点眼剤に対するアレルギーがでることがあります。目の周りの皮膚発疹や充血などアレルギー反応を疑わせる症状がでた場合は、点眼剤の使用中止していただき、ご相談ください。また、頭痛、嘔気、嘔吐、便秘などの反応がでることも稀にあると推定されます。
当院で使用しているマイオピンは、アトロピンの中でも、点眼を中断した場合に近視のリバウンドが見られる濃度ではありません。安全性と近視進行抑制効果のバランスに優れている点眼剤を使用しています。しかし、点眼剤の効果が安定して認められるようになるには半年ほどかかるという報告もあり、ご使用は長期間することをお勧めします。また、点眼開始後は、一か月目、三か月目、その後は3か月毎の眼科健診をお勧めしています。健診がお受けになれない場合は、点眼剤の処方をお断りいたします。
近視進行抑制を目的とした低濃度アトロピン点眼は保険適用薬ではありません。個人輸入によりお渡ししていますので、未承認医薬品の使用に関する厚生労働省のホームページ http://www.yakubutsu.mhlw.go.jpindividualimpot/ をご参照ください。アトロピンのお渡しと眼科疾患による眼科検査が同日の場合は全部が保険外診療となります。検査料は1回3,000円を申し受けることになりますので、ご了承をお願いします。
低濃度アトロピンは海外との為替変動やインフレの状態により価格が変動しています。現在のところ、1本3,000円でお渡ししていますが、今後変動する可能性がありますので、ご留意ください。
開封後は1か月間のご使用になります。安全にご使用いただくために1か月たったら廃棄してください。
以上の点についてご了承いただけた場合のみ当院では処方を行っています。
低濃度アトロピン治療の流れ
・ 視力低下を起こす可能性のある眼疾患を除外したうえで、正視ないし近視の方が対象となります。
・ 対象は近視進行を起こしやすい年齢、おおむね20歳以下です。
・ 低濃度アトロピンは、最初0.01%から開始します。近視の進行が確認された場合には0.025%濃度に変更します。
・ 当院では低濃度アトロピンとして世界的に定評のあるMyopine(マイオピン)を使用します。
・ 過去の研究から副作用がほとんどなく、近視進行を平均50~60%抑制するといわれています。
・ 1日1滴、就寝前に両眼に点眼します。
・ アトロピン治療は長く継続して初めて効果が現れます。長期の継続使用をお勧めします。
・ オルソケラトロジー治療と併用の場合、検査費用はオルソケラトロジーの検査費用に含まれます。